2019年10月、某お笑い芸人が、国税局より所得隠し及び申告漏れを指摘されました。
その額は1億円以上でしたが、逮捕はされていません。
しかし、同じ頃に所得隠しと約1億2000万円の脱税容疑で、某不動産会社社長が、逮捕されたと報じられました。
同じ所得隠し、そして金額も同じぐらいですが、逮捕されたり逮捕されなかったりと、その結果に違いがあります。この違いはなぜ起こるのでしょう?
この記事では、脱税で逮捕される基準は金額によって違うのか、それとも別の基準によって決まるのか、さらには脱税はなぜバレるのか、詳しく調べてみました。
脱税による逮捕の金額基準
一般的に「1億円以上」脱税すると、逮捕される可能性があると言われています。
しかしながら、必ずしも1億円以上の脱税で逮捕されるわけではなく、手口の悪質性、情状面等も考慮されるようです。
例えば、脱税を認めない、隠蔽しようとする、組織的に行っているなど、その手口が悪質と判断されると、逮捕の可能性も高くなります。
冒頭でお伝えした某芸人さんの例で言えば、2012年~2015年の4年間の経費2000万円については、悪質性のある「所得隠し」であると指摘されています。
しかし、2016年~2018年の3年間の収入約1億円の無申告については、悪質性のない「申告漏れ」として、処理されたため、逮捕には至らなかったようです。
逆に不動産業者社長が逮捕された件ですが、取調べに対して「取引は正しい」と、脱税の容疑を認めなかったようです。
この行為が、悪質だと判断され、逮捕に至ったのかもしれません。
他に、脱税額が1億円未満で逮捕された例があります。
茨城県守谷市の解体工事業者・代表取締役と、その知人が2008年8月期までの3年間の所得3億1000万円を、約936万円と過少申告しました。
そして、法人税約8900万円を脱税したとして逮捕されています。
この脱税に関して逮捕前に、税務調査を受けています。
しかし、税務調査後に妻と現金約2億5000万円を持ち出し、母親宅の台所の床に隠し、さらに国税局からの捜索を受けた後に、会社の資材置き場に埋めて隠蔽しようとしたようです。
このように手口が悪質であり、隠蔽の恐れがある場合は1億円以下の脱税でも、逮捕となることがあります。
脱税とは?
脱税とはずばり、「偽りその他不正の行為」により税を免れ又は税の還付を受ける行為とされています。(所得税法第238条及び法人税法第159条より)
つまり、偽装行為や隠蔽行為などの不正な手段により、納税を免れる行為のことを指します。
しかし、具体的には売上げを少なく申告したり、経費を多く計上することにより、意図して税金逃れをする行為のことです。
では、ニュースでよく耳にする「申告漏れ」と「所得隠し」と「脱税」の違いはなんでしょう?
「申告漏れ」は、計算ミスや手続きの遅れなど、うっかりしたもので、悪質性のないもの指します。
「所得隠し」は、偽装・隠蔽行為により、意図的に税金逃れをする悪質な行為です。
「脱税」は、所得隠しのうち、より悪質で検察庁に告発され、刑事事件となったものが脱税になります。
脱税は、なぜバレる?
脱税は以下の2つにより発覚します。
①税務署による税務調査、
または国税局査察部(通称マルサ)の査察調査にて発覚します。
税務署も国税局もその道のプロです。
売上げの過少申告や架空の人件費など、帳簿や請求書等をくまなくチェックして、必ず不正を見つけ出します。
また、最近ではヤフオクやメルカリなど、個人的な売買も増えてきていますが、こちらに関しても一定以上の収入がある場合は申告しないといけません。
「個人間のやり取りだから大丈夫」と思っていても、相手側企業の売上げ送金データを調べれば、すぐにわかってしまいます。
FXや株の利益等についても会社側が税務署に取引の詳細を提出しているので、脱税した場合は100%発覚します。
②情報提供により発覚します。
国税局のHP内に情報提供フォームがあります。
また、面接又は電話・郵送による情報提供も受け付けています。
この第三者からの情報提供により、発覚することもあるようです。
脱税の時効は場合によって異なる。
税金にも時効があり、税務署等から一定期間、税金の請求が無ければ、その納税義務は無くなります。
その時効までの期間は状況により3年、5年、7年と異なりますが、その違いは以下のとおりになります。
①時効が3年の場合
確定申告を期限内に行った場合の時効は3年です。
②時効が5年の場合
確定申告を期限内に行わなかった場合、もしくは無申告の場合の時効は5年になります。
③時効が7年の場合
①、②のどちらのケースにおいても脱税の意思がある場合は、時効は7年になります。
※贈与税に関しては、期限内に申告しない場合は時効が6年になります。
しかし、贈与がありながら申告しないことは脱税の意思があるとみなされ、時効が7年になることが多いです。
時効がリセットされる場合とは
時効が3年、5年、7年のいずれのケースも税務署が督促状を送ったり、差し押さえ等を行うと、時効期間はリセットされます。
また一部納税を行った場合も、リセットされます。
つまり、時効まであと数日という状況でも督促状が送られてしまうと、また3~7年の期間に戻ってしまうのです。
時効を迎えられる時というのは税務署が、税金の発生に気付かない場合になりますが、現実的にはそう上手くいかず、時効を迎えられることはほぼ無いようです。
脱税は、犯罪。絶対バレる。-まとめ-
税金を滞納した場合、その税金を納めればいいと言うわけにはいきません。
加算税や延滞税を納める義務も発生するため、脱税が発覚した場合、高額な請求を受けることになります。
また、脱税は犯罪です。
場合によっては禁固刑や罰金刑を受けることにもなりかねません。
脱税は発覚のリスクが大きく、そのデメリットも大きい!
そして、それ以上に納税という国民の義務をしっかりと果たすことが大事です。
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